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台風の夜

昭和30年代に子どもだった私は、台風と言えば、家の玄関と言わず窓と言わず、雨戸を閉めた上から、雨戸がない戸はそのまま、上から杉板を斜めに打ち付けて補強する父母の姿を想い出します。全部を打ち付けて、「で、父さんどこから入るの?」というのは当時よく使われたギャグです。粗末な木造平屋家屋は驚くほど脆く、強風でどこかの開口部が大きく破れると、吹き込んだ風圧は天井を突き上げ屋根を下から吹き飛ばしてしまいます。私の生家は布基礎に固定する本建築ではなかったので、母は強い台風の時は中にいること自体が不安だったようで、5m離れて建っている母の弟の家族の家に避難するのが常でした。この家には私より2つ下の女子とその弟、祖母がいました。私たち3人の子どもたちはまるで3人兄弟のように育てられました。当時の家は雨戸を全部閉めると、外が見えるのはトイレの小窓だけになります。台風の凄まじい風音を聞きながら、いつ停電してもいいように、普段はさわっただけで怒られる懐中電灯をそばにおいて、トランプをしたり、テレビ放送は始まっていたけど受像器が買えず、ラジオを聞いたりして、警報や避難命令が次々と報道される中を、けっこう賑やかにドキドキして過ごしました。風の音と木造家屋が風圧で変形する材木の悲鳴が続きます。2軒分の大人たちも集まって、日頃は忙しくてできない雑談や昔話を遅くまでしていました。昔話は世界大戦のころの話題が大半で、いつも結論は平和になってよかった、でした。隣室からのその声を聞きながら、いつの間にか眠りに入り、台風一過のまぶしい朝を迎えます。大人たちは早くから、出勤前の杉板はがしの仕事に音を立て、子どもたちはその音で目覚めるのです。大人ってすごい、僕はぜったいあんな風には動けない、って思いましたね。
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